幸福論(バーナード・ラッセル 堀秀彦訳/角川文庫)
放置された本がまだ実家に何百冊?ひょっとすると1000冊以上あります。そのなかから今回ラッセルの「幸福論」を読んでみました。バートランド・ラッセル(1872-1970)はイギリス生まれ。数学者、哲学者、科学者、無神論者。1950年ノーベル文学賞受賞。科学の進歩がめざましい中で多くの主張や理論を発表し、多くの著書を残しました。「幸福論」が書かれたのは1930年代、第2次世界大戦への道を突き進む西欧。難解な本かと思いましたが、堀さんの訳がわかりやすく読み終わりました。それにしても、60歳を過ぎて幸福論とはこれいかに。記憶に残るところを書きだします。(一部は堀さんの解説から)
・人は権力で動く
・酒は一時的に人間を錯乱状態にする
・計算された愛情は受け取る人によって愛情とは感じない
・成功しているという感情は、収入が成功の尺度だから
・幸福の正体はわからない。わかるのは不幸のほう。不幸の種(恐怖、嫉み、罪の意識、自己憐憫、自己賞賛)を一つずつ取り追い出す。その上で知的好奇心が呼び起こされ、我を忘れることができれば幸福。
・多くの人にとっての一定の事物:食物、住居、健康、愛情、仕事の成功、自分自身の仲間たちの尊敬
・青春を過ぎたものが幸福であるためには子供を通してのみ可能
・昔ながらの宗教の代わりに確実に証明された事実に対してのみ注意を集中せしめる
・幸福な人間は客観的な人、自己中心的でなく、情熱・興味が外側に向かって動く
・「結婚と道徳」という著書では、一夫一婦婚は人間を不幸にする。性の経験なしに結婚はよくない
著者の主張は断定的な部分も多く現代には当てはまらないと思うところもあり、中には極論もありますが約100年前の著書とは思えぬほど言い当てていて参考になると思いました。
この歳になると、目が悪くなったり、気力がわかないなどで本を読めなくなる日も近いと思うと、時間があれば読んでみようという気になります。今後役に立ちそうな気もしてきました。歳をとると記憶力も落ちてといいますが、何しろ若いとき記憶(特に歴史と外国語、と人の名前)が苦手だったので、はたして記憶力が落ちたのかわかりません。ボーッとしている暇はないですね。
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