2022年6月21日火曜日

本 死への準備(山寺邦道)

 ●死への準備山寺邦道/パレード)


山寺邦道氏は私が在家得度したときの曹洞宗導師・中野東禅老師の東京国際仏教塾の教え子で私の先輩でもあります。自衛隊幹部を退職したのち出家得度してこの本をまとまられました。

曹洞宗の檀家として、在家得度者として、また一般人として、この本は役立つと思います。1部2部構成で、1部は「死への準備」、2部は「僧侶の任務」について述べられています。1部のテーマについては、立花隆氏、五木寛之氏、養老孟司氏らの臨死体験や死生観、死後の世界などをテーマにした著書も参考に山寺氏の考えがまとめられています。2部は戒名や葬儀等のお経について書いてあり、仏道を歩む私にとっても参考になる内容になっています。ただし、著者は曹洞宗のお坊さんなので他の宗派についても書いてありますが物足りないかもしれないので他の著書などを参考にしてください。

法事や葬儀などで聞く機会があるお経は難解に感じ意味を知る機会も一般人にはほとんどないと思いますが、実は2500年前のお釈迦様の物語であったり、その後引き継いだお坊さんたちがまとめた戒律であったり、内容を知ると子供のころに聞いた昔話や童話の元の場合もあり、解説書を読んだり法話を聞いたりするとお経も案外身近になると思います。有名な般若心経は私にとってもいまだ難解なお経。でも内容は世の中は諸行無常でいろいろな条件がかかわって今があり、それは常に変化する。だから最初から運命も決まっているわけでなく自分の努力や行動で変化するというようなことです。曹洞宗はすべてが修行、食事も寝ることも修行。死への準備というと大げさですが、断捨離やエンディングノートを書くことも準備ですが、たとえば仏道を励む目的を持って生きることも一つの死への準備のように考えます。

2022年6月12日日曜日

本 出家とその弟子、愛と認識との出発(倉田百三)

 ●出家とその弟子(倉田百三/岩波文庫)


この本は熊本市図書館から借りてきました。実家にある本ではありません。倉田百三著「愛と認識の出発」が実家にありまして、まずは「出家~」を先に読んでからにしようと借りてきました。実は2018年に図書館から借りて一度読んでいました。このころ私はファイナンシャルプランナーのテーマの一つ「終活」に関心があり、そこから「仏教」がテーマの小説なども読んでいました。そのときの五木寛之著「親鸞」「蓮如」や五木・梅原猛対談「仏の発見」は印象に残っています。哲学者の梅原氏は「歓喜する円空」の著者であり円空ファンの私にとって親しみがある作家です。

「出家とその弟子」は浄土真宗の祖・親鸞聖人とその弟子唯円、親鸞の子善鸞が主な登場人物です。年譜には倉田氏25歳(1916年)の時に書き上げたとあります。全4巻の大作「親鸞」を著した五木氏や歎異抄、親鸞に関する著も多い梅原氏など多くの作家や研究者に影響を与えた作品ではないでしょうか。五木寛之著の「親鸞」(計4巻)は親鸞の生きざまをよりワイドにダイナミックに描いていますので関心がある方にお勧めです。


●愛と認識との出発(倉田百三/角川文庫)


一度読んだことがある「出家とその弟子」を図書館から借りて再読したのは、家にあった本「愛と認識~」が読みやすくなるだろうと考えたからです。哲学青年で社会主義者であり、若くして大ベストセラー作家になったり、大失恋したり、病気で入退院を繰り返したり、52歳で世を去った倉田百三。「愛と認識との出発」は、最初はなんとなく堅くて読みずらそうな気がしました。1921年発表当時倉田は30歳。当時の若者のベストセラーになったというこの書、彼の青春の経験と失敗と思い出を赤裸々につづり、自分の反省を踏まえて若い読者にささげた青春応援歌ではないでしょうか。一気に読めました。現代では薄まってしまった宗教も当時の彼の心の支えになっています。「出家~」を先に読んで正解でした。


2022年6月6日月曜日

本 結婚について(レオン・ブルム)

 DU MARIAGE(LEON BLUM) 結婚について(レオン・ブルム/ダヴィッド社)


おそらく親が購入した本でしょうか。著者レオンがこの本を書いたのが1907年というから今から110年以上前。彼はフランスの社会主義の政治家であり、将来の「結婚について」夫婦関係を当時の現状を踏まえ、過去・現在・未来に分けて時に生々しく、著名作家の小説や知人へのインタヴューを交えて描いています。現在の結婚や夫婦関係、とりまく社会環境などを予測し言い当てているのが大変興味深い。

大まかな内容は、男と女の生態・生理・本能を分析し、幸福な結婚生活を送るための「システム」(生き方や考え方)を本著で提案。性に目覚め本能が高まる若い時に自由に生き、落ち着きが出る時期に結婚するのが望ましいと著者は言っています。具体的には男は35歳ぐらい、女は30歳ぐらいとのこと。

浅草の1日

  4月19日に、私が2020年に卒業した東京国際仏教塾の本年度の開校式と閉校式が行われ、記念講演を拝聴するために上京しました。 講演が終わり、久しぶりに同窓生と懇親会。浅草へ。 待ち合わせの雷門下、観光客でごった返し。浅草寺にお参り、熱心にお参りする外国人観光客。 合流して私が...