2022年6月12日日曜日

本 出家とその弟子、愛と認識との出発(倉田百三)

 ●出家とその弟子(倉田百三/岩波文庫)


この本は熊本市図書館から借りてきました。実家にある本ではありません。倉田百三著「愛と認識の出発」が実家にありまして、まずは「出家~」を先に読んでからにしようと借りてきました。実は2018年に図書館から借りて一度読んでいました。このころ私はファイナンシャルプランナーのテーマの一つ「終活」に関心があり、そこから「仏教」がテーマの小説なども読んでいました。そのときの五木寛之著「親鸞」「蓮如」や五木・梅原猛対談「仏の発見」は印象に残っています。哲学者の梅原氏は「歓喜する円空」の著者であり円空ファンの私にとって親しみがある作家です。

「出家とその弟子」は浄土真宗の祖・親鸞聖人とその弟子唯円、親鸞の子善鸞が主な登場人物です。年譜には倉田氏25歳(1916年)の時に書き上げたとあります。全4巻の大作「親鸞」を著した五木氏や歎異抄、親鸞に関する著も多い梅原氏など多くの作家や研究者に影響を与えた作品ではないでしょうか。五木寛之著の「親鸞」(計4巻)は親鸞の生きざまをよりワイドにダイナミックに描いていますので関心がある方にお勧めです。


●愛と認識との出発(倉田百三/角川文庫)


一度読んだことがある「出家とその弟子」を図書館から借りて再読したのは、家にあった本「愛と認識~」が読みやすくなるだろうと考えたからです。哲学青年で社会主義者であり、若くして大ベストセラー作家になったり、大失恋したり、病気で入退院を繰り返したり、52歳で世を去った倉田百三。「愛と認識との出発」は、最初はなんとなく堅くて読みずらそうな気がしました。1921年発表当時倉田は30歳。当時の若者のベストセラーになったというこの書、彼の青春の経験と失敗と思い出を赤裸々につづり、自分の反省を踏まえて若い読者にささげた青春応援歌ではないでしょうか。一気に読めました。現代では薄まってしまった宗教も当時の彼の心の支えになっています。「出家~」を先に読んで正解でした。


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