6月22日に放送された能楽師の安田登氏解説のNHK第2日曜カルチャーで室町時代の猿楽師・世阿弥を紹介していました。その話の中で、世阿弥が残した言葉「老後の初心忘るべからず」が心に残りました。
初心忘るべからずというと、人は慣れてくると慢心して大着になったりするので、最初の頃の謙虚な気持ちを持ち続けるべきだなどと解釈していると思いますが、世阿弥さんが残したこのことばは、老後でもそのときにふさわしい芸を学ぶ初心があり、それを忘れず芸の向上をめざしなさいという意味だそうです。生涯(芸)現役です。
老後をどう解釈するかは人それぞれです。「生きている限り向上心」と言うと明るく聞こえます。世阿弥が生きた室町時代は、40歳、50歳はもう老後だったかもしれません。老後には病気や気力や体力の低下や認知症などいろいろ不安がやってきそうです。でも死ぬ直前までポジティブに生きられればこれにこしたことはない。くよくよ悩んでいても時間の無駄、終わりは確実にやってくる。1秒1秒近づいてくる。だからその1秒1秒を大切に生きよう、とあらためて思いました。芸を極めるなんて私には何もありゃしませんが、さああしたはどんな初心に出会うのか楽しみです。
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